野口のタネ|石倉根深一本葱|関東一本葱の代表品種
秋、冬穫り用の一本葱。柔らかくておいしい。鈴木葱と砂村赤昇を交配して育成。薬味、煮食、葱焼など。冬の葱料理なんでも。
昭和初期、群馬県前橋市石倉の沢野氏が、鈴木葱と砂村赤昇を交配して育成。昭和8年、石倉葱採種組合を結成。品質保持と普及に努めた。
名称:石倉根深一本葱 いしくらねぶかいっぽんねぎ・Ishikura Nebuka Ippon ・ Allium fistulosum
内容量:8ml,約1,200粒
蒔きどき:9月、3月
種子加工:なし
種子消毒:なし
特 徴
秋、冬穫り用の合柄赤系の一本葱。根長柔らかくおいしい。低温伸長性があり、耐病性強く、栽培しやすい。ただ、冬季休眠しないので苗の時に越冬しにくく消えやすいことや、耐暑性が弱く、秋早く蒔くと春抽苔しやすい等の欠点がある。
用 途
薬味、煮食、葱焼など。冬の葱料理なんでも。
育て方、タネの取り方
● 主産地:関東
● 採種地:チリ
● 収穫期:秋から冬。
● 播種期:秋9月彼岸(秋から収穫)または春3月彼岸(冬期収穫)。
● 発芽適温:15〜30℃
● 生育適温:20℃前後
● 栽培法:冬期休眠せず越冬力が弱いので、消えやすい時はトンネル育苗するか春蒔きする。春、葱坊主が出やすいので、定植時には、坊主をちぎって植付ける。ほとんど分けつしないので、定植間隔は5cm程度。葱は肥料焼けしやすいので、定植時には施肥せず、土用明けから一ヵ月に一度土寄せのつど施肥する。
● 採種法:自家受粉性もあるが、虫媒花なので、半径数百メートル以内に他品種があると交雑しやすい。葱坊主が黒く結実したら刈り取り、陽当たりの良い所で追熟、乾燥し種を外す。
● 播種法:平床にバラ蒔きして育苗する。
● 覆土:1cm程度。薄くし、乾燥防止にモミガラ、ワラなどを敷くとよい。
● 発芽検定月:2020年6月
● 発芽率:75%以上確認
● 種子寿命:常温で1年程度の短命種子。
● 休眠:充実し充分乾燥した種なら休眠期は無い。
● 種子保存法:乾燥剤を入れた密封容器で低温低湿度の場所に保存。
※注意事項
1:種子を食用、飼料用に使用しないで下さい。
2:小児の手の届かない場所に保管して下さい。
3:直射日光を避け、涼しい所で保管して下さい。
野口勲氏プロフィール

野口のタネ・野口種苗研究所代表
1944年生まれ。
全国の在来種・固定種の野菜のタネを取り扱う種苗店を親子3代にわたり、埼玉県飯能市にて経営。
伝統野菜消滅の危機を感じ、固定種のインターネット通販を行うとともに、全国各地で講演を行う。
著書に「いのちの種を未来に」「タネが危ない」、共著に「固定種野菜の種と育て方」等。
家業を継ぐ前には、漫画家・手塚治虫氏の「火の鳥」初代担当編集者をつとめた経歴を持つ。
野口のタネ・野口種苗研究所(http://noguchiseed.com/)
タネが危ない!わたしたちは「子孫を残せない野菜」を食べている。
いま世界の農家で使われているほとんどのタネが「F1」と呼ばれる一世代限りしか使えないタネ。そしてF1の中でもオシベがない「雄性不稔」と呼ばれる、生物学的には異常なタネが増えていると言います。
食糧生産の効率化のために増え続けるF1のタネ、私たちの食の安心や安全は守られているのでしょうか?
ーーーー雄性不稔植物を使ったF1種の作り方ーーーー
まず改めて簡単に用語のおさらいです。
● F1種:異なる性質を持つタネを、人為的に掛け合せてつくった、雑種の一代目のこと。異種を掛け合せてつくるイイとこ取りの種です。
● 除雄:作物が自家受粉(自分の花粉で受精すること)しないように雄しべを手で取り除くことを言います。
F1種は「雑種」であるため、自家受粉されては目的の雑種がつくれないため、除雄が必要になります。
● 雄性不稔:植物の葯(やく)や雄しべが退化し、花粉が機能的に不完全になることを言います。人間で言えば、男性側に原因のある不妊症と同じです。
---- 雄性不稔植物はどのように生まれるのか? ----
とても便利な雄性不稔植物ですが、どのように生まれてくるのでしょうか?
ズバリそれは、突然変異によるミトコンドリア異常によって生まれてくるのです。
ミトコンドリアとは簡単に言えば、細胞のさまざまな活動に必要なエネルギーのほとんどを、直接あるいは間接的に供給する器官です。この、生物にとって必要不可欠なミトコンドリアに異常をきたすことによって雄性不稔植物が生まれてくるのです。
つまり、今私達が口にしているものの多くは、このようなミトコンドリアに異常のある野菜ということになります。このような異常のあるものを食べて続けても体への影響は無いのでしょうか?
タネをつなごう
固定種とは、「固定された形質が親から子へ受け継がれる種」のことを言います。 つまり、親としていいものを選んで選別淘汰していき、そのいいものを遺伝的に固定していき、安定したものを栽培していくということです。
それが京野菜などの伝統があり、個性を持った野菜として根付いています。
固定種の利点は、遺伝子が固定されているため、自家採種が基本的に可能であること。
野菜を成熟させて、種まで採ることは決して簡単なことではありませんが、私たちが食べているお野菜たちの一生を見守ることができるのはとても素晴らしい体験になるでしょう。
野菜たちは私たちに食べられるために育つのではなく、種を残して子孫を繋ぐのが彼らの一生です。種を残したいという植物たちのエネルギーは凄まじく、全く違う姿になるものもあります。そんな姿を見ることによって、改めて食べもののありがたさを感じることができるでしょう。