『毒舌日本史』今東光[著]

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《毒舌・日本史》
川端康成らと第6次「新思潮」創刊に参加するなど新感覚派作家として知られるが、32歳突如仏門に入り比叡山にて修行。21年後、大阪八尾の天台院住職となってから執筆を再開し、その後には権大僧正として岩手・中尊寺の貫主となり一時期、参議院議員も務めた作家・今東光(こんとうこう)。

和尚が、当時文藝春秋社長の池嶋新平を相手に、古今東西の深い学識と大胆かつ唯一無比の発想で「歴史とは文字面ではなく、想像力と知識を駆使して物語の裏に秘められた事実を読み解くものだ」という事を、最後まで通貫されたユーモアと共に一気に語りあげる。
後日、本人の筆による加筆修正と、注釈を加えられた対談集だけに、読み応えバッチリ。仏教系の人なのでコンサバなようでいて、実はとてもラディカル。毒舌の奥に、民衆への愛が感じられる「てやんでえ」口調の大和尚の歴史考察は教科書の教える歴史に幾重にも奥行きを与えてくれる。
言っときますけど、和尚の「毒舌」日本史、ですからね。決して上品な方ではござんせん。
あしからず。(店主)



(対談:1972年)
「神話は大和民族の語り草」より

「ー(池島)あなた、日本の『古事記』『日本書紀』なんか若い頃に読んで、どう思いましたか?
 毒舌日本史と銘を打つからには歯に衣を着せずにやりましょう。殊に大東亜戦後からは日本の歴史は国民のために解放されましたからね。誰に憚る必要もねえ。これではじめて歴史てえもんだ。ヘッベルか誰か言ってましたよね。「歴史は人生のうがった河岸だ」ってね。そんな屁みてえな河岸の究明が難しかったんだから、こりゃ可笑しなもんじゃありませんか。するてえと進歩的文化人てえ奇妙な人種が、わざわざご丁寧に日本の歴史を歪曲して説明するんです。此奴等はいったい何所の国の産ですかね。まったくあきれた存在です。ということは本当の歴史がわかっちゃいねえためだね。何等かのイデオロギーを前提としてその公式に当てはめねえといけねえわけだ。これじゃ真実の歴史ではなくて信条歴史だ。こんな言葉があるかどうか知らねえがね。現代のものの考え方は闘争から始まるようだね。ハックスリも言っている。「闘争の原因は一般に、いや、もっぱら経済的なものであるということが信じられてきた。これは真実とはほど遠い。多くの紛争は、その起源において純粋に信条的なものである」。僕はこれは正しいと思うな。マルクス主義者はレーニンも含めてこの説だ。ところが、クリスト教を信条とするもの、仏教を信条とするものが存在するのを忘れちゃいけない。信条主義者が憎悪に駆り立てられて闘争にまっしぐらに駆けこむのさ。歴史こそいい迷惑さ。


「ところで戦争中、東条英機が古事記学者を弾圧しましたね。覚えてるでしょう。『日本書紀』以後の六国史、つまり『日本書紀』系統が本当の官撰国史だ。勅命によって編まれたもんだから、これが正しいという神懸かり意見が陸軍の一部にあって、東條はその派を代表して古事記学者を抑制したんだ。わたしはどっちかというと民間伝承を重んじた方でして『古事記』の方を取りますね。しかしですね、古事記学者はこれを神典としてあがめてしまったんだ。これはどうかと思います。同じ『聖書』でも『新約』は聖書らしいが『旧約』は果たして聖書と言えるかどうか。僕はむしろ歴史と言いたい。それなのにクリスト教徒は『旧約』をもひっくるめて聖書とします。これと同じ誤謬(ごびゅう)を犯しているのが古事記学者だ。神典などと言うべきではありませんやね。ありゃ飽くまでも古代大和民族の語り草ですよ。歴史も地理も無い時代だ。況(いわん)や哲学だの思想だの屁みてえなものの無え時代の語り草だ。だから考古学者が見れば考古学に見えるし、人類学者が見れば人類学に見えるし、歴史家が見れば歴史だし、童話作家が見ればおとぎ話さ。神話なんてものはそれでいいんだ。何もしかつめらしい意義付けなんていらねえね。それだけに人間臭が漂うてます。わしはあれが気に入っとる。」



著者の今東光さんは、古事記、懐風藻、万葉集、吾妻鏡、神皇正統記、太平記・・・日本のあらゆる古典、中国の四書五経まで読破して精通している方で、「易経」の権威でもあった人物です。

驚くべき記憶力と洞察力、それに解釈力に裏打ちされた文章は、読む者の心を鷲掴みにして脳天を叩き割る様な凄まじく痛快な文章です。

この本は1972年に単行本化されたので、もう40年以上昔の本なのに、2015年の現在読み返しても全く古びていません。それどころか、予言書に近いとも言える非常に興味深い内容の本です。

タイトルにあるように確かにひどい毒舌で、僧侶とは思えぬような偽悪ぶった態度で綴られておりますが、それでいて独学で積み上げたとは到底思えぬような分厚い知識と鋭い洞察力による独特な世界観が全編に渡り展開されていて大変に読み応えがある一冊です。

偉い学者さんが知らないようなエピソードを事細かく仔細に知っていたりして「大学出た学者さんなんか、文字つらだけを追っているから、本当の歴史なんか何も分かっちゃいねんだよ」と噛み付いたりする、大変頓知の効いたタッチの文章は、読む者をぐいぐいと引き込んで行き、通常の日本史では悪党扱いになっている弓削道鏡や、平家の様な敗者の立場を検証し、勝てば官軍の勝者による一方向から描かれた歴史を再評価することで、常識を覆すような視点を読者に与えてくれます。

また、「日本史は、仏教史が分からなければ何も分かりませんよ」と強調し、明治政府の「廃仏毀釈」政策も痛烈に批判しています。

『明治政府がいいことばかりやったというのは、大間違いで徳川幕府を倒した革命政権が自分たちの都合のいいように歴史を改竄した』という主張も、常識としての世の中の通説を疑い、史実を見つめ直すきっかけを与えてくれます。





目次

原始の性を謳う『古事記』
新説・日本建国譚
国力の象徴・応神陵
世界無比の十七条憲法
大化のクーデターから皇室の内乱へ
大きな遺産・『万葉集』、小さな遺産・大仏
ウルトラ・スーパーマン道鏡
花咲くサロン・フェミニズム
栄光と悲惨の藤原四代
源平ともに久しからず〔ほか〕



文庫: 411ページ
出版社: 文藝春秋
発売日: 1996/8/1
サイズ: 15.2 x 10.8 x 1.8 cm

※単行本発行: 1972/7
※帯は付属しておりません。


今 東光(こん とうこう)

明治31(1898)年、神奈川県生まれ。
日本郵船の船長だった父親の関係で、幼い頃から各地を転々とする。兵庫県豊岡中学を退学処分になって以後は、独学で文学の道を歩んだ。東大生の川端康成と知り合い、大正10(1921)年、第6次「新思潮」創刊に参加、新感覚派作家として知られる。昭和5(1930)年、仏門に入り比叡山にて修行。長らく文壇を離れるが、昭和26(1951)年、大阪府八尾の天台院住職となってから執筆活動を再開、「お吟さま」で第36回(昭和31年下半期)直木賞を受賞。以後、”河内もの”などの小説で人気を集め、世相を批評しては”毒舌家”として話題をまいた。昭和41(1966)年より権大僧正として岩手県中尊寺貫主となり、一時、参議院議員をつとめたこともある。昭和52(1977)年没。


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