野口のタネ|ハッピーヒル(うるち)|福岡正信氏育成の多収穫米
自然農法のカリスマ・故福岡正信氏が育成した超多収米。草姿は立性でアワに似ています。多収穫の割には美味。ハッピーヒルの名は「福岡」の直訳。
終戦直後、ビルマの奥地から日本兵が持ち帰った長稈多粒のモチ種と、日本の穂重型の品種を交配して、福岡正信氏が1986年に固定。
名称:ハッピーヒル(うるち) Happy Hill(Uruchi) Rice ・ Oryza sativa
内容量:100ml,約2,000粒
蒔きどき 4月中旬
種子加工 なし
種子消毒 なし
特 徴・用途
飯米。 本種は、福岡正信生誕百年祭で愛媛に招かれた野口勲が、ご遺族から頂いた種籾を、野口種苗スタッフが増殖。
晩生なので冬が早い北海道や東北など寒冷地には不向き。関東以西に適す。
水田だけでなく陸田にも向くという。
※ご注意:稲こうじ病が発生しやすい品種のため、出荷用営利栽培には不向きです。予めご了承下さい。
育て方、タネの取り方
主産地/西日本 採種地/埼玉県
● 収穫期:秋11月
● 播種期:4月中旬。(直播き栽培では4月下旬〜5月上旬)
● 発芽適温:30℃〜35℃
● 生育適温:平均気温26℃以上
● 栽培法:長稈強稈で倒伏に強い。耐干性が強く、陸稲に近いものもある。雑草に強い。条件が悪い田畑で特性が発揮されるので、不耕起、無肥料、無農薬の自然栽培に向く。多肥栽培した場合、超多収となり10a1tどり以上も可能。(一穂300〜400粒着生し、平均200〜250粒実る。一平米の茎数を200〜300本に留める)。
● 播種法:10〜14日吸水(積算で100℃/日)後30℃室温で1日芽出し。
● 覆土:播種床を光線透過率70%の寒冷紗等で被い覆土しない。
●採種法:稲刈り後、脱穀、乾燥して翌年の種モミとする。
● 発芽検定月:2018/1 発芽率 75%以上確認
● 種子寿命:常温では1年程度と短い。冷暗所なら数年保管できる。
● 休眠:ない。(従って結実途中に雨にあたって発芽することもある)
● 種子保存法:呼吸ができるよう紙袋のまま冷暗所に保存する。
※注意事項
1:種子を食用、飼料用に使用しないで下さい。
2:小児の手の届かない場所に保管して下さい。
3:直射日光を避け、涼しい所で保管して下さい。
野口勲氏プロフィール

野口のタネ・野口種苗研究所代表
1944年生まれ。
全国の在来種・固定種の野菜のタネを取り扱う種苗店を親子3代にわたり、埼玉県飯能市にて経営。
伝統野菜消滅の危機を感じ、固定種のインターネット通販を行うとともに、全国各地で講演を行う。
著書に「いのちの種を未来に」「タネが危ない」、共著に「固定種野菜の種と育て方」等。
家業を継ぐ前には、漫画家・手塚治虫氏の「火の鳥」初代担当編集者をつとめた経歴を持つ。
野口のタネ・野口種苗研究所(http://noguchiseed.com/)
タネが危ない!わたしたちは「子孫を残せない野菜」を食べている。
いま世界の農家で使われているほとんどのタネが「F1」と呼ばれる一世代限りしか使えないタネ。そしてF1の中でもオシベがない「雄性不稔」と呼ばれる、生物学的には異常なタネが増えていると言います。
食糧生産の効率化のために増え続けるF1のタネ、私たちの食の安心や安全は守られているのでしょうか?
---- 雄性不稔植物を使ったF1種の作り方 ----
まず改めて簡単に用語のおさらいです。
● F1種:異なる性質を持つタネを、人為的に掛け合せてつくった、雑種の一代目のこと。異種を掛け合せてつくるイイとこ取りの種です。
● 除雄:作物が自家受粉(自分の花粉で受精すること)しないように雄しべを手で取り除くことを言います。F1種は「雑種」であるため、自家受粉されては目的の雑種がつくれないため、除雄が必要になります。
● 雄性不稔:植物の葯(やく)や雄しべが退化し、花粉が機能的に不完全になることを言います。人間で言えば、男性側に原因のある不妊症と同じです。
---- 雄性不稔植物はどのように生まれるのか? ----
とても便利な雄性不稔植物ですが、どのように生まれてくるのでしょうか?
ズバリそれは、突然変異によるミトコンドリア異常によって生まれてくるのです。
ミトコンドリアとは簡単に言えば、細胞のさまざまな活動に必要なエネルギーのほとんどを、直接あるいは間接的に供給する器官です。この、生物にとって必要不可欠なミトコンドリアに異常をきたすことによって雄性不稔植物が生まれてくるのです。つまり、今私達が口にしているものの多くは、このようなミトコンドリアに異常のある野菜ということになります。このような異常のあるものを食べて続けても体への影響は無いのでしょうか?
タネをつなごう
固定種とは「固定された形質が親から子へ受け継がれる種」のことを言います。
つまり、親としていいものを選んで選別淘汰していき、そのいいものを遺伝的に固定していき、安定したものを栽培していくということです。それが京野菜などの伝統があり、個性を持った野菜として根付いています。
固定種の利点は、遺伝子が固定されているため、自家採種が基本的に可能であること。
野菜を成熟させて、種まで採ることは決して簡単なことではありませんが、私たちが食べているお野菜たちの一生を見守ることができるのはとても素晴らしい体験になるでしょう。
野菜たちは私たちに食べられるために育つのではなく、種を残して子孫を繋ぐのが彼らの一生です。種を残したいという植物たちのエネルギーは凄まじく、全く違う姿になるものもあります。そんな姿を見ることによって、改めて食べもののありがたさを感じることができるでしょう。